2004年02月04日
今日のメディア : [映画] うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー
押井 守監督。
初めて見た押井作品は、たしか劇場版『機動警察パトレイバー』だった(ほとんど話を覚えていないが)。それからここ数年、彼が脚本や監督を担当した作品をいくつか見てきたが、押井守という人物がアニメーション界で大物として扱われる、これといった理由は見当たらなかった。
昨今、押井氏は「枯れた」とか「天才ではない」などと揶揄されているが、やはり本作や『攻殻機動隊』が日本アニメーション史における重要な作品であったことは間違いないし、これからもあり続けることである。もちろん、これは拙者が言うまでのことでもない。
誰もが、「自分が死んだらどうなるんだろう」ということを小さい頃に考えたことがあると思う。拙者は、「死んでしまったらもう『ドラえもん』は見られないのか…」と本気で落胆したことがある。毎週金曜夜7時に絶対見ている番組を、もう二度と見られなくなる。それは子供にとって死を身近なものに感じるためのいいきっかけだったと思う。
『ドラえもん』でのび太は死んだりしないし、『うる星やつら』であたるとラムが結婚するようなことはない。だが、偉大な作家は、ときどき気まぐれだ。誰もが想像し得なかった、ドラえもんが未来へ帰る(※)ことや、本作のように永遠に繰り返される仮想世界に登場人物たち自身が気づくことなど、予定調和を期待して見ている人をドキドキさせるようなことを稀に仕掛けてくる。
そのとき、拙者は子供の頃に感じた『ドラえもん』の終わりと死の感覚を思い出し、軽い身震いをするのである。さて、来月公開のイノセンスは、どんな感情を沸き起こさせてくれるのか楽しみだ。
※ 単行本『ドラえもん』6巻に収録の「さようなら、ドラえもん」参照。一時期ネットで流行したドラえもんの最終話しか知らない人は、ぜひ読んでほしい。当時、小学校2年生の拙者は読むたびに泣いていた。あのとき、自分をのび太に重ね合わせるという、数少ないのび太への感情移入が行われていたように思う。