フィリップ・トルシエ『オシムジャパンよ!日本サッカーへの提言』

本書は、3つの章で構成されている。

  1. ジーコジャパンの歩んだ4年間の総括
  2. オシムジャパンの船出に対する感想とこれからの展望
  3. 世界と比較しながらの日本サッカーへの提言

この中でも特に本書を良書たる位置づけに押し上げているのが、ジーコジャパンの総括だ。2006年のドイツワールドカップ後、ジーコからオシムへの監督交代劇(よくスポーツメディアは"交代劇"という書き方をするけれども、川淵氏の発言も含めて本当に"劇"だった)により、ほとんどの代表ファンとメディアはジーコの4年間を真剣に振り返る時間を持てなかった。そりゃもちろん、予選リーグ敗退の辛い現実を受け止める前に、オシムがもたらしてくれるであろう新たな希望を迎え入れる方が楽に決まっている。

トルシエは、1章の冒頭でこう記している。

トルシエジャパンの成果と反省を踏まえたうえでジーコジャパンが始動したように、オシムジャパンもまたジーコジャパンの4年間とその集大成としてのドイツ大会への反省をもとにスタートしているからだ。

これは当たり前のことで、サッカーに限らず、うまくいかなかったことの反省なしに成功は訪れない。そういう意味では、ドイツ大会における選手間のコミュニケーションの問題を、フランス代表やリヨンと比較しつつ論じるくだりなどは、中田や宮本のキャプテンシー、ジーコのチームマネジメント力を考える上では欠かせない視点だろう。

タイトルにも挙げられているオシム監督についての章は、残念ながら2008年となった現在では多少内容が古くなってしまっている。それでも日本サッカーの特色(短所?)である性急さについてや、マンツーマンマークに対するトルシエの考えなどは興味深い。

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