川上未映子『そら、頭はでかいです、世界がすこんと入ります』

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著者の川上未映子が、2003~2006年ごろの約3年に渡って綴ったブログ『純粋非性批判』から抜粋した記事に加筆、修正した随筆集(と背表紙では名乗っている)。そうか、ブログというのは随筆集でもあったわけだな。

思えば数多くの、本当に数多くのブログ、古くはテキストサイト、さらに古くはホームページにおける日記などを読み散らかしてきた。その中でも、テキストを読むことの対価としてお金を支払ったことは、数えるほどしかない。たしか、何かの有料メールマガジンがいくつか、というくらい。それでも『電車男』以降、ネット上で読める無料のテキスト群を編集して書籍化、という手法が定着してきて、拙者もそのような本を買い、読むことが増えてきた(例に出しておいてアレだけど、『電車男』はネットで読んだだけ)。優れたコンテンツであれば、著者に対価を支払いたい、という気持ちは自然と芽生えるので、ネットの文献はガンガン書籍化してほしいところだが……。投げ銭にしても、PayPalにしても、アフィリエイトにしても、ネット上のコンテンツに対価を支払う手段としての決定打は出てきていないわけで、KindleやiPadのようなデバイスにはそういう役割が期待されている、というか狙っているのだろうな。

さて、話が大幅にずれたところで本書の感想に戻る。一言でいうとR&Bを感じる。文体のリズムと大阪のブルース。ときおり声を上げて笑ってしまう。母親が角材で父親の膝を砕くくだり(「黄金の雨の中おしっこを漏らす大人」より)なんか、格別なもんで。この話を読みながら乗っていた西武新宿線1号車の室温が2、3度下がったんじゃありませんの、というくらいの戦慄も走りつつ。元気になるなぁ、この本。

★★★★★

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