- 2008年4月 4日 18:29
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春の移動性高気圧がじょじょに日本列島を横断しようとする季節……そう、寒く暗い冬は過ぎ去ろうとしていた。訪れるのはうららかな春。大きな案件も1つ終わったし、お花見なんて行っちゃおうかしら、とうかれている矢先の出来事であった。
「シロアリによる被害が甚大なため、退去をお願いいたします。」
退去？ こんな快適な家なのに？ ぼく、まだ1年ちょっとしか住んでないんだよ？ 家具だっていろいろ買っちゃったよ？ 3人がけのソファが置ける賃貸住宅なんて他にあると思うの？ なんなの？ なんなの？ うわあああああ。
混乱する頭に、言葉は冷静にのしかかる。
「老朽化のため根本的な回収は不可能」
「大規模な震災での倒壊は確実」
「すでに階下の世帯には了承いただいた」
「来年10月には取り壊し」
わ、わかったってば。出てけばいいんだろう、出てけば……。ひとまず冷静になって考える。
たしかに猶予期間6ヶ月をもって通知すれば、契約の解除ができる、と契約書には書いてある。よって、大家には一銭も支払いの義務はない。もちろん敷金は全額返金されるだろうが、契約更新する気マンマンだったこちらとしては、計画が大幅に狂ったことも事実。これは、いくばくかの引っ越し代金は請求できるんじゃないだろうか……というところで今に至るわけです。つづく。
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